夏目友人帳

人と妖の人情物語。

人気が出るのは頷けますが、ターゲットが少しぶれている印象を受けました。

まず、妖と人との刹那的な描写。
特にアニメ1期は、主人公と新しく出来た友達の描写がまだ少なく、妖と人との短編ストーリーが多いですよね。
例えば「妖としての永遠の生を捨て、短命の虫になってでも一目でいいからあの人に会いたい」とか、人間から見ると幸福を疑ってしまうような儚く切ない妖の願いに、思わず大人の自分も涙が止まりませんでした。
アニメで泣いたのは初めてでしたし、なんて素晴らしい作品なのだろうと感嘆したものです。

では、主人公と新しく出来た友達の描写。
妖が見えるがゆえに周囲の人間からうとまれ、不遇の幼少期を過ごしてきた主人公が、良い友達に囲まれて幸せにしている様子は、確かに見ていて心温まるものがあります。
ですが例えば、ちょっと主人公が顔色を悪くしたら、周囲がすぐに「顔色悪いけど大丈夫か?お前あんまり寝てないんじゃないのか?」と心配してくれたり。
主人公が妖の気配を感じて「二階やばそうだからちょっと見てくる!」と走り出せば、主人公の霊感体質(正確には妖感体質)を知る友達は「主人公がそう言うんだから妖が居るに違いない。私達は信じよう」と言った具合に納得したり。
周囲の人が、察しが良過ぎたり、歯の浮くような科白を平気で言ったりと、友情演出が少々過剰に感じてしまうんですよね。
のめり込んで観ていた意識が、友情描写で急に冷めて、現実へと戻されたのが観ていて何回かありました。

妖と人との心理描写が繊細で絶妙に描かれているだけに、人と人の描写が過剰に単純明快すぎて、前者のようなセンチメンタル描写が好きな私にとっては、どうも後者は雑な印象になってしまいました。

ただ、総体的に汚い心理描写はほとんどない作品なので、ドロドロした愛憎劇が苦手な方は観易いかもしれません。

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